観光農園とは

「観光農園」と聞くと、いちご狩りやぶどう狩りを思い浮かべる方が多いと思います。ただ、実際の観光農園はもう少し幅が広く、収穫体験のほかに花の鑑賞や農作業体験、食事やアウトドアを組み合わせた施設まで含まれます。このページでは、観光農園とはそもそもどういう場所なのか、どんな種類があるのか、料金や予約の仕組みはどうなっているのかといった基礎知識をまとめました。はじめて訪れる前の「全体像をつかむ」ページとしてお使いください。

観光農園とは

観光農園とは、農家などの農業経営体が、訪れた人に対して農産物の収穫体験や農作業体験、圃場(ほじょう)の鑑賞などを提供し、その対価として料金を受け取る事業のことです。ポイントは「農業生産が土台にある」ということ。普段は市場や直売所に出荷している農家が、畑や果樹園そのものを開放し、来園者にサービスを提供することで付加価値を生み出しています。

農家にとっては収益性を高める手段であると同時に、地方では雇用の創出や、地域の特産品を発信する役割も担っています。私たちが果物狩りを楽しむことが、そのまま地域の農業を支えることにつながっているわけです。

POINT 観光農園は「農家が営む体験施設」です。テーマパークとは違い、農作物の生育状況や天候によって内容が変わるのが前提になります。

観光農園の主な種類

観光農園はサービスの内容によって、大きく4つのタイプに分けられます。同じ「観光農園」でも、タイプによって楽しみ方や料金の考え方が変わります。

タイプ 内容 代表例
収穫体験主体型 果物や野菜を自分で収穫し、その場で食べたり持ち帰ったりする いちご狩り、ぶどう狩り、りんご狩り、芋掘り
鑑賞主体型 花や果樹の景観を楽しむ。飲食施設やショップを併設していることが多い 観光梅園、観光花き園、ラベンダー園
複合型 収穫や農作業に加えて、食体験やアウトドア活動を通年で提供する 農園レストラン併設の農園、バーベキュー・キャンプ付きの農園
オーナー制度 木や区画の「オーナー」になり、収穫期に一定の生産物を受け取る りんごの木オーナー、みかんの木オーナー、田んぼオーナー

みのり旅で紹介している農園の多くは「収穫体験主体型」ですが、最近は農園カフェや直売所、体験教室を組み合わせた複合型の農園も増えています。

観光農園の歴史と現在

もぎ取り園から始まった

日本の観光農園は、1960年代後半に果樹の「もぎ取り園」として始まったとされています。1970年代には芋掘りやいちご狩りが広がり、その後、オーナー制度や大規模な農園が登場しました。近年はレストランや宿泊、アウトドアを組み合わせた複合型が増え、農業体験は「一日楽しめるレジャー」へと姿を変えてきています。

数は減っても、一園あたりの規模は拡大

農林水産省の統計(2023年度)によると、全国の観光農園の数は5,050経営体で、10年前と比べると4割ほど減っています。一方で、観光農園全体の売上は年間372億円を超え、1経営体あたりの売上は739万円と10年前より7割増えています。つまり、小規模な農園が減る一方で、しっかりと設備や品目をそろえた農園が育っている、というのが現在の姿です。

項目 2023年度の値 10年前との比較
観光農園の数 5,050経営体 約42%減
年間売上(全国合計) 約372.8億円 前年度比3.6%増
1経営体あたり売上 約739万円 約70%増
地域分布 関東・東山地域に約半数が集中 山梨・長野など果樹産地が中心

国の政策としての位置づけ

観光農園は、農業の「6次産業化」(生産に加工・販売・サービスを組み合わせること)を進める取り組みのひとつとして、国の「食料・農業・農村基本計画」にも位置づけられています。2011年には6次産業化・地産地消法が施行され、農園を新しく開く農家に向けた無利子の資金や専門家派遣といった支援の仕組みも整いました。

料金の仕組み

観光農園の料金体系は農園ごとに違いますが、大きく分けると次の3パターンです。予約のときに「どの方式か」を確認しておくと、当日の戸惑いがなくなります。

方式 仕組み 多い品目
時間制の食べ放題 入園料を払い、30分〜60分など決められた時間内で食べる。持ち帰りは別料金 いちご、ぶどう、さくらんぼ、ブルーベリー
入園料+量り売り 入園料(園内での試食込みの場合も)を払い、収穫した分をグラムや個数で精算する りんご、なし、桃、みかん
区画・株単位 1株・1区画・1本などの単位で料金が決まり、そこから取れた分を持ち帰る さつまいも、じゃがいも、落花生、栗
Tips 料金は「大人・小学生・幼児」で分かれていることが多く、幼児の年齢区分(3歳から、4歳からなど)は農園によって違います。子連れの場合は予約時に確認しておくと安心です。

開園時期の目安

観光農園は「一年中いつでも同じものが楽しめる」施設ではありません。品目ごとに旬があり、収穫できる期間はおおよそ決まっています。以下は全国的なおおまかな目安で、地域や気候によって前後します。

品目 おおよその時期
いちご 12月〜5月(ピークは1月〜4月)
さくらんぼ 6月〜7月上旬
ブルーベリー 6月〜8月
桃 7月〜8月
ぶどう 8月〜10月
なし 8月〜10月
りんご 9月〜11月
みかん 10月〜12月
さつまいも 9月〜11月

同じ品目でも、品種によって収穫時期が数週間ずれます。「その日に何が採れるか」は農園に直接問い合わせるのが確実です。

予約は必要?

以前は「行けば入れる」農園が多かったのですが、現在は予約制の農園が増えています。理由は、果実の実り具合に合わせて入園人数を調整しないと、後から来た人が「食べる分がない」状態になってしまうためです。特にいちご狩りやさくらんぼ狩りのように実の数が限られる品目は、週末や連休は予約でいっぱいになることも珍しくありません。

また、予約制でない農園でも、団体や大人数の場合は事前連絡を求められることが一般的です。天候不良で急に休園になることもあるので、出発前に農園のホームページやSNSを確認する習慣をつけておくと失敗が減ります。

まとめ

観光農園は、農家が畑や果樹園を開放して収穫や鑑賞の体験を提供する「農業を土台にした体験施設」です。収穫体験型・鑑賞型・複合型・オーナー制度という4つのタイプがあり、料金は食べ放題・量り売り・区画単位のいずれかが基本になります。

農作物が相手なので、時期や天候によって内容が変わるのは観光農園の宿命でもあり、面白さでもあります。行きたい品目の旬を押さえ、予約の有無と料金方式を確認しておけば、はじめてでも安心して楽しめます。当日のルールやマナー、持ち物や服装については、それぞれ別のページで詳しく紹介しています。